日本における有料放送の可能性

有料放送は今後どのような展開を見せるのであろうか。メディア先進国アメリカのように、このまま有料放送が拡大の一途をたどるのであろうか。それとも、CATVを解約した私のように、有料放送をあまり必要としない人のほうが圧倒的に多く、日本では有料放送が拡大しないのであろうか。私は、今のところ後者のほうであるのではないかと考えている。そこで今回の論文では様々な文献を参照にするとともに、インタビューという形式を通じて実際、最前線で働いている人々に話をお聞きすることで、日本における有料放送の可能性というものを検証していきたいと考えた。

まず、文献を調べていくと、有料放送が拡大していくのではないかというような様相を呈していた。具体的に列挙すると、有料放送市場の拡大や日本が進もうとしているテレビスタイル、視聴率の分散傾向などが、拡大が促進されるということを大きく後押ししている。しかし、有料放送が拡大しているアメリカを調べてみると、アメリカでの有料放送拡大要因が、日本には当てはまらないのではと感じるようになり、当初私が感じたように、日本では、有料放送というものがあまり拡大しないのではないかという思いをより一層強く感じるようになった。

そこで、日々進歩する有料放送をより詳しく理解するために、実際にその業界で働いておられる方々(WOWOWにお勤めの方、某民放放送局で働いておられる方、CATVに働いておられる方、CS放送を担当されている方、メディア研究をなされている教授)にインタビューというかたちで話をうかがうことにした。

その結果、私は日本では有料放送が拡大しないのではないかという問に対する、幾つかの答えを見つけた。心理的要因、経済的要因、社会・文化的要因である。この三つの要因によって、日本では有料放送の促進が阻害されていると思う。

しかし、だからとってこのままの有料放送が拡大しないというのもいささか問題であると思う。というのも、放送コンテンツというものは、多くの視聴者に様々なことを伝えるという特性をもっていると思うからだ。それゆえ、私は有料放送コンテンツの更なる向上を求める。日本では、拡大しにくいと考えられる有料放送が、ある程度視聴者からの人気を博し、よりよりテレビライフが提供されるようになってもらいたいと思う。